異所性蒙古斑ができる背景には、胎児期における皮膚の形成プロセスが深く関わっています。
1. メラノサイトの「移動の停滞」
皮膚の色を作る細胞(メラノサイト)は、赤ちゃんが母親のお腹の中にいる時期に、神経堤(しんけいてい)という場所から皮膚の表面(表皮)に向かって移動します。通常、このメラノサイトは出生までに表皮へたどり着きますが、異所性蒙古斑は、何らかの理由で移動の途中に「真皮(しんぴ)」という皮膚の深い層に留まってしまったために生じます。
2. なぜお尻以外に現れるのか
通常の蒙古斑がお尻や背中に集中するのに対し、異所性蒙古斑は四肢(手足)や腹部、顔面など、本来メラノサイトが留まるはずのない場所に現れます。これは、広範囲に移動するメラノサイトの一部が、目的地に到達できずにその場に定着してしまった結果です。真皮に留まったメラノサイトがメラニン色素を産生し続けることで、あざとして認識されるようになります。
3. なぜ「青く」見えるのか
(チンダル現象)
メラニン自体は茶褐色(黒色)ですが、異所性蒙古斑が青く見えるのには物理的な理由があります。異所性蒙古斑は、メラニンが皮膚の深い「真皮」にあるため、そこまで届いた光のうち、波長の短い「青い光」だけが散乱して私たちの目に届きます。これを物理学でチンダル現象と呼びます。
浅い場所にあるメラニン(シミなど):茶色に見える
深い場所にあるメラニン(異所性蒙古斑など):青く見える
4. 遺伝や生活習慣との関係
異所性蒙古斑は、遺伝的な要因が関与することもありますが、多くの場合は突発的に発生します。妊娠中の食事や生活習慣が原因で起こるものではないため、保護者様がご自身を責める必要は全くありません。