多汗症について
説明
多汗症は、通常よりも多量の汗をかく状態を指します。手のひら、足の裏、脇の下、顔など、体の特定の部位に限定される局所性多汗症と全身に発汗を認める全身性多汗症があります。多汗症は、生活の質に大きな影響を与え、心理的なストレスや社会的な不便を引き起こすことがあります。適切な診断と治療を受けることで、症状を管理し、生活の質を向上させることが可能です。
TROUBLE このような場合はご相談ください
- 手のひらや足の裏が常に湿っている
- 脇の下の汗が多く、服に染みができる
- 顔や頭部の汗が異常に多い
- 緊張やストレスを感じると異常に汗をかく
- 生活に支障をきたすほどの汗をかく
症状
①手のひらの過剰な汗
手のひらが常に湿っている状態で、紙や物を持つのが困難になります。
②足の裏の過剰な汗
足の裏が滑りやすくなり、靴の中が蒸れることで不快感を引き起こします。
③脇の下の汗
脇の下から大量の汗が出ることで、服に大きな汗染みができ、見た目にも影響します。
④顔や頭部の汗
顔や頭部から異常に汗が出ることで、メイクが崩れやすくなり、外見に自信を持てなくなることがあります。
⑤全身の汗
全身から大量の汗が出ることで、日常生活に支障をきたす場合があります。
原因
①遺伝的要因
多汗症は家族に同様の症状を持つ人がいる場合、遺伝的要因が関与していることがあります。
②自律神経の異常
自律神経のバランスが崩れることで、汗腺が過剰に反応し、多汗症を引き起こします。
③さまざまな全身性疾患
神経・内分泌疾患、感染症など様々な疾患で多汗症を引き起こすことがあります。
④ストレス
精神的ストレスが引き金となり、多汗症の症状が悪化することがあります。
⑤ホルモンバランスの変化
特に思春期や更年期など、ホルモンバランスが大きく変動する時期に多汗症が発症しやすくなります。
⑥薬物の副作用
特定の薬物の使用が多汗症を引き起こすことがあります。
日常の注意点
①ストレス管理
リラクゼーション法やカウンセリングを活用し、ストレスを軽減することが重要です。
②適切な衣服の選択
吸湿性の高い素材の衣服を選び、通気性を確保しましょう。
③体を清潔に保つ
汗をかいたらすぐに拭き取り、清潔を保つことで、不快感や皮膚トラブルを防ぎます。
④食生活の見直し
辛い食べ物やカフェインを控え、バランスの取れた食事を心掛けましょう。
⑤定期的な運動
適度な運動で自律神経のバランスを整え、汗の量を調整します。
治療方法
①外用薬
従来は塩化アルミニウム液を用いた方法でしたが、最近は汗腺に作用して交感神経からの汗を出す信号を抑えるエクロックゲル(脇)、ラピフォートワイプ(脇)、アポハイドローション(手のひら)が保険適用で処方できるようになりました。
②内服薬
抗コリン薬(プロ・バンサイン)などの内服薬を使用して、汗腺の活動を抑えます。ただし、緑内障や前立腺肥大のある方などは内服できません。その他にも基礎疾患によっては注意が必要です。軽度の副作用として、目のかすみや口喝、眠気、頭痛などに注意が必要です。
③ボトックス注射
特定の部位にボトックスを注射し、汗腺の働きを一時的に抑制します。現在、腋窩の多汗症が保険適応となっております。
④イオントフォレーシス
微弱な電流を流すことで、汗腺の働きを抑える治療法です。
⑤手術
重度の手掌多汗症の場合、交感神経を切断する手術(胸腔鏡下胸部交感神経節切除術が行われることがあります。
よくあるご質問
多汗症は遺伝しますか?
はい、多汗症は遺伝的要因が関与していることがあります。家族に同様の症状を持つ人がいる場合、発症リスクが高まります。
多汗症の治療にはどのくらいの時間がかかりますか?
治療方法によりますが、一般的に効果が現れるまでには数週間から数ヶ月かかることがあります。
治療の副作用はありますか?
治療方法によっては副作用があります。例えば、外用薬ではかぶれ、ボトックス注射では一時的な筋肉の弱まりや痛みが生じることがあります。
多汗症は完全に治りますか?
多汗症の治療は症状を管理することを目的としており、完全に治すことが難しい場合がありますが、適切な治療で症状を大幅に改善することが可能です。
日常生活での対策はありますか?
ストレス管理や適切な衣服の選択、体を清潔に保つことなどが有効です。日常生活での注意点を守ることで、症状の緩和が期待できます。